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陸寄居蟹網絡日誌オカヤドカリブログ

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京大教授、調査4年目 国天然記念物オカヤドカリ

和歌山県白浜町臨海、京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信准教授(61)は、遊歩道や展望台などが整備された近くの番所山(標高32・5メートル)やその周辺で、国の天然記念物に指定されているオカヤドカリの生息調査を始めている。今年で4年目。久保田准教授は「貝殻に色が塗られたオカヤドカリを見つけたら連絡してほしい」と呼び掛けている。


調査は県と町の許可をもらって2011年から行っている。遊歩道やその周辺数カ所で定点観察しており、各ポイントに現れた個体の貝殻に塗料で目印を付けて日ごとの出現数を調査している。



今年は最も出現しやすい1地点を選び、5月中旬から6月中旬までの出現初期の状況を調べている。5月19日に1匹を初確認して以降、10日までに殻長2~3センチの小型のものを43匹確認した。このうち、昨年以前に印を付けた貝殻を背負っていたのは10匹だった。

11年5月から12年9月までは出現数を調査、計404匹を確認した。気温が20度を超えると活動が活発になり、6~8月に多く出現することが分かった。定点地以外でもごく少数だが確認された。また、12年9月下旬から10月初旬には出現期終盤の出現時間も調査した。この結果、日没1時間後から日の出2時間前までに多く現れた。

13年は、抱卵した雌が幼生(ゾエア)を海に放つ行為「放幼」を調べ、夜間波打ち際で幼生を放出する行動を本州で初めて詳細に確認している。

これまでの調査ではオカヤドカリはイボニシやイワカワウネボラ、バイ、ウニレイシなど18種の貝殻に入っていた。ほとんどは調査地点近くの浜に打ち上がるが、大型のものは京都大学白浜水族館で廃棄されたサザエの殻などを利用していた。

番所山は、白浜町が山内を安全に散策できるよう遊歩道や展望台、駐車場などを整備し、4月に公園(5ヘクタール)としてオープンした。

久保田准教授は「国の天然記念物でもあるが、県内では限られた場所にしか生息しない貴重な生き物。見つけた場合は持ち帰らず、そっと見守ってほしい」と話している。

オカヤドカリ類は、陸生のヤドカリで、本州中部以南、鹿児島県から沖縄県など広い地域に生息、紀伊半島沿岸が自然分布の北限とされている。日本では天然記念物として保護されており、基本的に国内での捕獲はできない。

調査のため貝殻にペイントされたオカヤドカリ(左)=和歌山県白浜町臨海で】 
(2014年06月11日更新)
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