和歌山10+ 件県白浜町臨海にある番所山(標高約30メートル)で、国の天然記念物に指定されているオカヤドカリが多数見つかり、京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信准教授(58)が調査を始めた。番所山は町と県、地元関係団体が協議会をつくり観光資源として活用しようと計画中。久保田准教授は「きっちりとした個体数や生活史を把握して保護につなげたい」と話している。
久保田准教授は、番所山の遊歩道やその周辺を定点観察している。今月に入り、ある地点に甲長3センチまでのオカヤドカリが50匹以上集結しているのを発見した。
このまま放置すれば訪れた観光客が知らずに持ち帰る恐れもある。一切捕獲できない生き物であることを周知するため、この周辺にどのくらい生息しているのか、同地点に集まってくるのが季節的なものなのかなどを調べることにした。見つけた個体に目印を付け、生息する群体数を導き出したいという。
オカヤドカリ類は、陸生のヤドカリで、本州中部以南、鹿児島県から沖縄県など広い地域に生息している。日本では天然記念物として保護されており、基本的に国内での捕獲はできない。
番所山の環境を保全しながら整備し、周辺の観光施設などと一体化させて地域振興を図るため、白浜町などが「番所山を拠点とした臨海地域活性化協議会」を発足。京都大学白浜水族館も周辺施設として構成団体に入っている。番所山は以前、遊園地があり多くの人でにぎわった。いまは建物などは残っていないが、豊かな自然と遊歩道はそのまま。3年かけて検討・整備するが、大きな建物や構造物は建設しないという。
【オカヤドカリ10+ 件を観察する久保田信准教授。円内はオカヤドカリ(和歌山県白浜町の番所山で)】
(2011年06月09日更新)
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