2019年7月6日 3時00分 下田市
国の天然記念物で熱帯域に分布するオカヤドカリが、下田市内の特定の海岸(資源保護のため非公表)に多数生息していることが分かった。確認した下田カヤックセンター代表の小沢悟さん(57)=下田市須崎=は「本土での繁殖は難しいとされているが、下田では世代交代している可能性が大きい」と考えている。
下田の海岸に生息するオカヤドカリを手にする小沢さん
オカヤドカリは、日本では主に小笠原諸島と南西諸島に分布し、本土では九州南部、四国南部、紀伊半島南部の太平洋岸に分布する。名前の通り、海岸付近の陸上部で生活する。
冬場に気温が下がる地域では生存できず、本土の個体は繁殖の際に放たれた幼生が黒潮に乗って北上し、偶然定着したものとされる。
小沢さんは、15年ほど前に下田の海岸で偶然発見して以来、定点観察を続けてきた。今年4月、カメの死体に体長1~2センチの小さな個体から7~8センチの大きな個体まで30~50匹ぐらい群がっている光景を目撃した。
それまでの観察では、いずれも小さな個体で、数もそれほど多くなかった。
このことから小沢さんは、何度も越冬して成長し、繁殖、世代交代につながっているとの確証を得たという。
小沢さんは「これまでも伊豆での観察事例や真鶴半島での越冬事例はあるが、本土での世代交代は聞いたことがない。こうした生物がいつまでも生息できるよう、みんなで自然環境を守っていきたい」と話している。
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